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 少子化と婚活         バックナンバー 

 少子高齢化がますます進行している。このままで進めば日本の人口は減少の一途をたどる。 なぜ少子化が進行するのか?その理由は何人もの識者が指摘している。

一つは婚活(結婚活動)と称される言葉に象徴されるように結婚ができない若者が増えていることだ。従来、日本には「見合い結婚」の制度が定着していた。親が子どもの結婚を半ば決める「いいなずけ制度」も存在した。それでなくても世話好きの人が「仲人」となって、周りの結婚適齢者に見合いを勧めて、結婚を成立させる社会的な仕組みがあった。

「仲人口」という言葉があったように、彼らはかなりバブルの話をしていたようだ。彼らにかかれば、身長5cmサバを読むなど普通で、年収、家族関係など、他にはないような「素晴らしい人」になっていたと聞く。 その弊害もあった。好きな人がいても親の言うまま、無理やり結婚させられる人権無視もあったと聞く。

また、結婚して初めて「大酒のみ」とか「ギャンブル好き」とか「女好き」などが分かって、泣く泣く一生を送る女性もいたらしい。「優しい人」と聞いていた女性が、とんでもなく気の強い女性だったことも…。

  ところが、そういう社会制度が崩壊し、今は「婚活」結婚活動)をしなければ結婚できない社会になった。自分の意志で結婚するのであるから、どんな場合でも納得ができる。しかし、なかなかそのチャンスに恵まれない人も多い。

換言すれば、結婚が自由競争になったのである。自由競争になれば自己責任となり、自身で納得のできる結婚ができる。しかし、逆に自由競争ではモテル男性、モテル女性は限られる。そういう人に集中化するのは当然の帰結である。

また、それ以前として結婚するための条件(生活できる糧)の確保できない若者も多い。派遣切りで職を失う若者の増加だけでなく、そもそも正社員としての採用を劇的に減らし、季節変動、景気変動に対応しやすい臨時採用、派遣労働者の採用に切り替えた企業も多い

私が何度も指摘しているように、マクロで捉えれば、企業は目先の利益にばかり追われ、自分で自分の首を絞めているのである。なぜなら、人口が減る社会では縮小均衡に陥るのは必至であるから…。その原因は一体どこにあるのであろうか?私には明確な原因は分からない。

 しかし、一つの原因と考えられることがある。それは株主と企業の関係である。  ほんの14,5年前までは、株主が企業の短期的利益を左右する存在ではなかった。だが、現在では、株価、株の配当金がクローズアップされることによって、その存在が想像以上に大きくなった。企業の短期的な利益が出なければ株価は下がる。最悪の場合は株主に訴訟を起こされることもある。

 これでは長期的な展望の戦略(私はこれを資金計画・人材育成計画と理解している)など打ち出せるべくもない。しかし、技術立国として生き抜くための必要不可欠な条件は、言うまでもなく人材である。 マニュアル化できない部分、機械化できない部分は「人」によるしかない

その一部は科学技術の進歩によってマニュアル化され機械化される。しかし、そのことにとって新たなマニュアル化、機械化が不能な分野が生じる。

マニュアル化される分野、機械化された分野のみで生き残ることは極めて厳しいと言わざるを得ない。なぜなら、それらは発展途上国の安い人件費に勝てないからである。

 余談ではあるが、今春、就職の内定取り消しの問題に一言。盛んにマスコミが報道したが、マスコミに出ない巧妙な、かつ陰険な実質内定取り消しもあるようだ。勤務地が親元で就職を決めていた学生が、「勤務地が○○になりますが、どうされますか?」と、3月になって突然言われて辞退した友人がいる、と卒業生からも直接聞いた。それも2人同じ企業に内定していて、それぞれの地元の勤務地を逆にしたという。ここまでくれば、もはや企業の社会的責任放棄という他はない。

さて、少子化の原因は結婚ができにくい問題だけではない。結婚して子どもが生まれても、安心して子どもを育てられる環境がないのも一因になっている。フランスは先進国でも出生率が高いが、それは、たとえシングルマザーでも安心して子育てができる環境があるからと聞く。

 逆に日本は少子化が進むすべての条件を備えている?ようにさえ思われる。人口が減少する社会の仕組みが出来上がっていると言えば言い過ぎであろうか?このまま進めば、世界の歴史に「アジアに日本人がいた」と記述される日が来るかもしれない。

2009年5月 


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