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 過剰な清潔の追求は?       バックナンバー

 江戸時代の話。殿様が農作物に下肥をかけて育てるのを聞いて、「汚いから止めろ!」と命じた。その結果、出来た農作物は発育が悪く美味しくない。それを食べた殿様は、「なぜ、こんなに不味いのか?」と問いただした。「下肥を使わないからです」。殿様は「今すぐこの料理に下肥をかけろ!」と命じたという。もちろん、これは作り話で、落語の1節である。

 今年は花粉症の当たり年らしい。花粉症の生徒も多くて鼻をグスグスやっている。本人にとってはとても辛いだろう。
今まで何ともなかったのが、ある日突然花粉症にかかることもあるらしい。実際、50歳を過ぎて、ある日突然かかった私の知人もいる。 「田舎育ちだから、俺は花粉症になんてならない」と奥さんに自慢していたらしい。本人は「自分がまさか!」と、かかったことをしばらくは認めたくなかったようだ。

 花粉症の原因はもちろん杉の花粉である。しかし、
花粉症にかかる人とかからない人がいる。むろん、本人の体質にもよるだろう。しかし、私が子どもの頃は花粉症の人は今よりずっと少なかった。つまり、今と昔の何か環境の違いがそれを増加させているのではないか?

 ある医者によれば
寄生虫の「回虫」をお腹の中に飼うと、花粉症の症状が出なくなるという。その頃は多くの子どもたちがお腹の中に「回中を飼っていて?」小学校では、究極に不味い「虫下しの液体?」を飲まされたものだ。

  当時は「人糞・人尿とワラのサンドウィッチ?」のような堆肥を作り、それを農産物の肥料にした。まさに有機農法そのものである。もちろん、回虫だけでなくギョウチュウも農産物にはついていた。よく洗って食べてもすべてを洗い流せるものではない。つまり、
日常的に回虫、ギョウチュウなどを口にしていたのである。

  ところが、
現在では食べ物に対して異常に清潔さが強調されている。瓶詰めの中に虫でもいようものなら、マスコミが盛んにバッシングする。逆説的に言えば、「虫が食べたい」と感じるほど安全である証拠である。食べ物だけではない。身の回りのありとあらゆるものが抗菌で溢れていて、それはトイレにまで及んでいる。

本来、人間の身体は細菌との共生で成り立っている。例えば、身体には皮膚常在菌で守られていて、悪い細菌から身体を守ってくれている。洗い過ぎるとこの菌がなくなってドライスキンになるとも…。

 また、その医者によれば
腸内の細菌が減ると免疫力が落ちてしまうという。ウンチの半分も細菌の死骸である。ウンチの量も戦時中に比べると3分の1にまで減っているらしい。

  寄生虫は自分自身だけでは生きられず、何かに寄生することで生きられる。だから、寄生虫は寄生する人間を殺してしまうと、寄生虫自身も生きられないために、そんなことは絶対にしないと彼は説く。

 これは身体の問題だが、現在は身体だけではない。
心のあり方も「過剰保護」に向かっている。「過剰な平等」である。私自身は直接目にしたことがないが、運動会でも順位をつけない学校があるという。幼稚園などの発表会では、全員が「白雪姫」になるところもあると聞く。これでは個性を殺しているようなものだ。

 運動能力の発達した子、芸能関係に優れた子、勉強のできる子、絵の上手い子、字の上手い子なども捨象され、
「みんな平等」という美名のもとに、過保護に育てられている。少子化もそれをさらに助長させている。

 こうして
身体も心も過保護に育てる社会になっている。将来、全員が大手企業の社長になれたり、大学者になれるわけではない。将来、彼らも資本主義社会=激しい競争社会で生きなければならないのに…。

2012年04月