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 わが子だけは上がり続ける?     バックナンバー

 塾の存在理由はいうまでもなく、成績と実力アップにある。どんなに美辞麗句を並べようと、得点、順位は動かしようがない厳然たる事実である。

 中学校の定期試験も終わり、その結果が少しずつ判明している。この仕事を30年以上やっているが、何年経っても冷や冷やドキドキの時期である。何年経ってもこの感覚は決して消えるものではない。これが消えるときが現場を離れなければならない時であろうか。

 幸いにも今回も多くの生徒が大幅な順位上昇を示してくれた。私が中心で指導している松山南教室に例を取ると、全員が大幅な順位上昇を果たした。約240人の学年で10位内に突入した生徒、30人抜きの生徒、40人抜きの生徒など、中には90人抜きを果たし、記録に残るであろうツワモノもいる。

 しかし、これは決して淳風塾の手柄ではない。「指導者は触媒に過ぎない」が私の持論である。また、禅問答のようだが「教えずに教えろ」が私の持論でもある。  
 つまり私たちにできることは、子どもたちが伸びれる環境を作ってあげるだけである。「やるぞ!」「上がってみせる」と、子どもたち自身が、そういう気持ちにならなければ伸びるものではない

 瞬間最大風速で、運よく得点・順位が出ることはあっても、継続することはあり得ない。 今回も多くの生徒が前向きに取り組んだということであろうか?それとも、運に支えられた瞬間最大風速であろうか?それは今回だけで評価は下せない。次回以降の結果が示すであろう。

 ところで、保護者には耳の痛いことを指摘しておかなければならない。わが子に期待する保護者の気持ちは重々承知している。しかし、勉強は決して特殊な分野ではないこと。第二に勉強は仕事とまったく同じであり、最も大きな要素は記憶力、論理力であることであること、である。

 新人が職場に入ったとき、一度教えれば覚える人、何度指導してもなかなか覚えられない人がいるように、勉強も同じである。 大手企業が有名大学出身を多く採用する理由もここにある。勉強ができることと仕事ができることには強い相関関係がある。もちろん自然科学と異なって、社会科学においては例が存在することは言うまでもないが…。

 教育の現場では禁句であるが、持って生まれた素質的な要素は如何ともしがたいものがある。我々の子どもの頃は「身の程を知れ」と、イヤというほど親に叩き込まれたものだ。つまり、伸び続けたり、保護者の希望通りに上がり続けることはあり得ないのである。

 しかし、「誉められて育てられた」現在の保護者は、子どもたちに、「分をわきまえさせる」ような厳しいことは言わない。むしろ、「アナタはやればデキる」と激励を繰り返す。万一、希望通りの結果を残さなければ怒る保護者もいる。怒って成績が上がるなら、そんなたやすいことはない。塾が保護者の代わりに何度でも怒ってあげる。しかし、それはマイナスの効果しかない。

 もしかすると、保護自身が「やればやるほど成績・順位があがる」を信じているのかもしれない。確かに人間には無限の能力があり、日々の研讃・努力によって成長する。

 しかし、このことと「順位・得点が無限に伸びる(上がる)」とはまったく別の議論である。 私がこのコラムで何度も指摘しているように、「無限に伸びる」とは他者との比較ではない。昨日の自分より、今日の自分が進歩していることを表しているに過ぎない。

 自分の名前すら書けなかった子が、自分の名前だけでなく、他の人の名前まで書ける。それどころか、かけ算九九まできるようになっているではないか。これを無限と言わずして何と言えばいいのだろう。

 保護者の過剰な期待は逆に子どもたちをダメにする。この仕事に携わって30有余年に何度もそういう事実を目の当たりにしてきた。登校拒否からパニック障害…。ときどき世間を賑わす親子の三面記事に掲載される事件も、その延長線上にあるのではないか。

 保護者にできることは、子どもにいい環境を与えてあげるだけである。子どもたちは保護者の希望通りになるものではない。多くの保護者自身が親の期待通りにならなかったであろうとまったく同じように…。

2012年07月